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012操り人形は生きている
『屍者の帝国』を入口に、自然界のゾンビ化を寄生と生化学から辿る。操れるのはなぜ生者だけなのかを、フィクションと生物学を往復しながら考える。

011Let's Go Heavenと住職は言った
法事で住職が放った「羯諦とは英語でLet's Go Heaven」。時制も行き先も間違えた三重の誤訳がなぜ届いたのかを、訳されない真言の来歴から辿る。

010骨の音を聴くまで
吉村昭『少女架刑』の、死んで初めて感覚が研ぎ澄まされるという逆説を、意識の「減圧弁」仮説と現代の脳研究のあいだに置いてみる。

009析出する花子さん
トイレの花子さんは、なぜ全国で細部の型まで揃うのか。伝言ゲームなら崩れる話が骨組みだけ保たれる理由を、記憶と文化伝播の研究から読む。

008王様はまだ行列を続けている
製造費20円あまりの紙が、なぜ1万円として通用するのか。「みんなが信じているから」という答えの先を、捕虜収容所のタバコや取り付け騒ぎとともに辿る。

007崖は誰の作でもない
「UXを良くしたい」という言葉はなぜ滑るのか。アフォーダンスとその40年越しの訂正を手がかりに、デザイナーが握れるのは関係の片側だけであることを考える。

006いない人の居場所
「誰かがいる」という感覚は、そこに誰もいなくても立ち上がる。極地探検やオカルトの証言を脳科学の実験と行き来し、幽霊が知覚の側に立つことを見る。

005意味の橋が落ちるとき ― 『シラート』と理由のない死
カンヌ審査員賞の映画『シラート』を手がかりに、理由のない死と、人が死に意味を与えようとする仕組みを考える。

004混ぜられない色
全盲の人はなぜ混色を感覚として受け入れられないのか。目と耳のセンサー構造の違いから、見える人もまた色そのものには触れていないことを辿る。

003AIの意識は泡沫か
AIに意識があると仮定したとき立ち上がる、セッションごとに生まれては消える不連続な「わたし」。睡眠・仏教の無我・心理的連続性と並べて考える。

002埋め合わせる脳、埋め合わせる機械 ― せん妄とハルシネーション
せん妄で同じ動作を止められなかった父の反復と、生成AIのハルシネーションを並べて読む。壊れているのが自分で分かるのに止められない、その空回りをめぐる。

001異界はなぜ夜市に立つのか
恒川光太郎『夜市』の異界は、なぜ市の形を取るのか。辻・橋・逢魔が時など、人が異界と接すると信じてきた場所と時間を貫く「境界」の論理を、民俗学から辿る。